2012年12月23日日曜日

Les Misérables ―Do You Hear the People Sing?―

あのプロローグが鳴ると、レ・ミゼラブルが始まる。








レ・ミゼラブル映画版、観て来ました。
ミュージカル版と同じく、全編がほぼ全部歌で進行していきます。

20代の頃に初めてミュージカルを帝劇で観た時、震えるような興奮と感動に襲われたのを覚えてます。
再び観に行った時も、物語は知ってるし一度観てるのにやっぱり泣かずにいられない。

しばらく時間は空いたけど、今回は物語も知ってる、歌も知ってる、さて。。



結果、分かってるのにやっぱり泣かずにいられない。




何をどこから書こう。。
㊟とっても有名な話なので、若干のネタバレがあるかも知れません。
 出来るだけネタバレしないようには書くけど。



まず、ファンテーヌ/アン・ハサウェイがもの凄く好い!!

ミュージカル版を観に行ってた時は二回共にまだ20代だったので共感するのは専らエポニーヌだったけど、時間が経って色々経験して改めて観るとファンテーヌに感情移入せざるを得ない自分がいたりする。
娼婦に堕ちたファンテーヌがどうしようもない絶望の中、振り絞るように歌う「I dreamed a dream」はCMの予告でも流れてたけど、本編で観ると更に「アン・ハサウェイって凄いんだな」と思います。
ファンテーヌ程の悲劇は起こってないけど、本当にどうにもならないかも知れない。。という絶望感を、嫌でも思い出させられる。



えっと。。書いちゃあ消し、書いちゃあ消し、何やってんだorz
取り留めがなくなりそうなので、プリンシパルキャストについてちょっとずつ書いておきます。

ジャン・バルジャン/ヒュー・ジャックマン
ヴィクトル・ユゴーも彼を想像してたんじゃないかって思うくらい、まんまなバルジャンでした。
妹の子の為に一つのパンを盗んで19年間投獄され、誰も何も信じられないところから改心して父親になっていくバルジャンの生涯。
「バルジャンの独白」で「What have I done?」と始まって「Who am I?」と歌う辺り、いきなり鳥肌立ちます。
「Who am I?」はその後にも掛かってきます。

ジャベール/ラッセル・クロウ
自身の正義感と使命感と法に則ってバルジャンを追いかける警部。
ある意味誰よりも一番バルジャンを見つめている人物でもあると思います。
人が好くなりそうかな。。と思ってたラッセル・クロウですが、重鎮という感じのジャベール。
ジャベールが来た!というだけで緊張が走る空気を漂わせていました。
本当はただバカが付く程に真面目なだけで決して悪人じゃありません。後半でメッチャ苦しみます。

ファンテーヌ/アン・ハサウェイ
テナルディエ夫妻に一人娘を預けて、養育費を送っている。
働いている工場内で工員同士のトラブルに巻き込まれてクビになり、娼婦に身を窶す。
劇中で髪は実際に切られます。一発勝負だけあって、鬼気迫る場面。
歯まで抜かれて(もちろん本当には抜かれてないけど)、客を取る事になります。
ファンテーヌの今わの際は、私が父を看取った時の光景と重なりました。

コゼット/アマンダ・セイフライド
ファンテーヌの娘。
幼少期にテナルディエ夫妻の元に預けられ、こき使われていたところをバルジャンに救い出される。
この話の中で希望の象徴とされる人物です。
そんで、メチャクチャカワイイ。
馬車の中で眠るコゼットについて、バルジャンが歌う「Suddenly」は新曲らしいです。

マリウス/エディ・レッドメイン
本当は上流階級の息子だけど、アンジョルラス他学生の革命活動に参加する。
コゼットに一目惚れ。

エポニーヌ/サマンサ・バークス
テナルディエ夫妻の娘。マリウスに片思い。
この片思いは、マリウスの笑顔を見たいが為の行動を起こさせますが、その結果自分が苦しい事に。

テナルディエ/サシャ・バロン・コーエン
マダム・テナルディエ/ヘレナ・ボナム=カーター
強いて言うなら悪役はこの二人です。でも憎めない陽気部門代表。
泥臭くて人間臭くて、多分本当は誰でもこういう欲の皮が突っ張った部分を持ってると思う。

司教/コルム・ウィルキンソン
バルジャンを改心させる司教。
ミュージカル初演時にバルジャン役だった人です。


アンジョルラス/アーロン・トヴェイド
学生の革命家のリーダー。
ミュージカル版でも別の役で出演してるそうです。

ガブローシュ/ダニエル・ハトルストーン
見上げた度胸と根性を持つ男の子。



ミュージカルとの相違点はどうしてもあります。
ミュージカル版ではバルジャンが投獄されている間の刑務は石切りだったのに対して、映画版では大きな船を水の中で大勢で引っ張っていたり、エポニーヌが歌う「On my own」の冒頭(日本語では)「またあたしひとり行くところもないわ」の部分が省略されていたり、映画で効果的に撮る為と、話の流れで不自然になるところは変えられているようでした。
でも遜色はなかったと思います。

劇場で役者さん達が演じている臨場感はミュージカル程ではないけど、役者さんの細かな表情まではっきり分かるし、映像なので舞台上では表現しきれない場面転換が出来るのが映画の良い所かと。
今までのミュージカル映画は先に歌を録音して撮影では口パクだったのを、今回の映画では全部役者さんが撮影時に実際に歌っているそうです。








ただこれは映画館の問題だけど、もう少し音量が大きくても良かったんじゃないかと思いました。
ミュージカルでは生オケなので、爆音に近い音で演奏されます。



何よりも、キャスティングはプリンシパルだろうとアンサンブルだろうと全てオーディションで決められている(もちろんミュージカル版も)ので、残念な人は一人もいません。
だから余計に、大きな音で聴きたかったなぁ。。


友達と一緒に行ったのですが、彼女はレ・ミゼラブルの内容を知らなかったし、元々興味があった訳でもないと言っていました。
私も敢えて事前に何も話さないでおきました。
終始泣いてました。

「魂が浄化される」という言い方をする人もいるくらい、誰もがその人なりの視点で劇中の誰かしらに共感しては涙する作品です。

世の中には善人と悪人がいるんじゃなくて、一人の人の中に善と悪の両方を持っています。
平和な現代の日本にいるから、何についても「剥き出し」のものが好きじゃない私ですが、劇中では全ての登場人物が「剥き出しに人間」です。
今日を生き延びるのに必死なだけです。



本当におススメです。震えが来るような感動を観て欲しい。
アンサンブルも注目です。








本編を観てから考えようと思っていたDVDですが、購入決定。
ってか、もう一回観に行ってもいいかな。



来年もミュージカル版が新演出でもって帝劇に掛かります。
また観に行きたくなって、チケットを取るべく頑張ろうか考えてます。。



=おまけ=
ミュージカル版では、プリンシパルキャストでも出番じゃない場面では、アンサンブルに交じってガヤ芝居とかやってたんだって。
今はどうか知らん。
でもバルジャンとジャベールは割と出ずっぱりだからあんまりなかったかもね。










2 件のコメント:

  1. なんと、口パクではないのですか!
    それは見る価値が高まりますねーー( ´ ▽ ` )ノ

    人間性剥き出しだからこそ、見るものの心に訴えかけてくるのかなぁ、とMegさんの感想を読みながら感じました。
    揺れ動く善と悪の狭間で、微妙なバランスを保ちながら運命を選択していく人間模様は、今に生きる私達も変わらずですから。

    私も時間ができたら、是非見に行ってみようと思います。

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    1. Chloeさん

      今までの映画版が口パクって知らなかったりして(笑)
      ただ「オペラ座の怪人」映画版の時は、ミュージカル版とは視点が変わってしまったような感じがしました。
      今回は全然そんな事なかったです。

      時代的にも、多分フランスだけじゃなく日本も幕末でしたしね。
      新しい世の中にしようとすれば当時は力ずくの争い事になるし、一般人も殺伐としているというか、綺麗事ではやっていけなかったんでしょうね。
      今は綺麗事も言えるけど、自分で自分の人生を知らずに選択しているのは同じですよね。
      自分で選んでるんだと思うだけでも、自分の人生に責任取れると思うんですが。。

      行かれる際は、厚めのハンカチ持参してみてください(笑)

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